BYDの売れ行きが悪い本当の理由とは?注目される海外と日本の違い

BYDの売れ行きはなぜ伸び悩む?日本市場の現実 電気自動車EV
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「BYDの売れ行き」と検索しているあなたは、きっと“なぜ日本ではBYDが思うように売れていないのか”という疑問を持っているはずです。

確かに、世界ではテスラに迫る勢いで販売台数を伸ばしているBYDですが、日本市場ではその実績が今ひとつ目立ちません。

本記事では、日本でのBYDの販売台数とその推移をはじめ、ユーザーが感じる魅力と不安点、さらには「BYD車が日本で売れない理由とは?」という核心に迫ります。

日本市場における価格とブランドイメージが影響しているのか、あるいはBYDドルフィンやATTO3、SEALといった主力モデルの立ち位置に理由があるのかも徹底解説。

また、中国市場で圧倒的に売れている背景や世界販売台数ランキングでのBYDの順位にも触れながら、日本と海外での販売戦略の違い、そして「今後日本撤退の可能性はあるのか?」といったテーマにも切り込みます。

日本でBYDを買う人はいるのか、それとも少数派なのか」を考える上でも、ぜひ読み進めてください。

記事の要約

・BYDの日本国内での販売台数とその推移
・日本市場でBYD車が売れにくい理由
・世界と日本で異なる販売戦略とブランドイメージ
・BYDが中国や世界で評価されている背景

BYDの売れ行きはなぜ伸び悩む?日本市場の現実

BYDの売れ行きはなぜ伸び悩む?日本市場の現実

・日本での販売台数とその推移
・ユーザーが感じる魅力と不安点
・BYD車が日本で売れない理由とは?
・日本市場における価格とブランドイメージ
・BYDドルフィンと競合EV車との違い
・ATTO3やSEALなど主力モデルの立ち位置

日本での販売台数とその推移

日本におけるBYDの販売台数は、参入初年度である2023年から2024年にかけて徐々に増加してはいるものの、他の大手EVメーカーと比較するとまだ十分な存在感を示せていないのが現状です。

具体的には、2023年に約1,400台程度だった登録台数が、2024年には約3,500台程度まで拡大したと報じられています。しかし、同期間中にテスラや日産リーフ、トヨタbZ4Xなどが万単位での販売を記録していることを考えると、BYDの数字はかなり控えめであるといえるでしょう。

このような販売台数の推移にはいくつかの背景があります。まず、BYDがディーラー網の整備を段階的に行っているため、消費者が実車を見て購入を検討できる場所が限られているという課題が挙げられます。

日本におけるBYDの販売状況と比較(2023〜2024年)

項目内容・評価
2023年販売台数約1,400台(日本初参入年)
2024年販売台数(見込み)約3,500台
主な販売モデルATTO 3 / ドルフィン / SEAL
販売拠点数(2024年時点)約20拠点(全国に拡大中)
競合車の販売台数(2024年)テスラ:約1.8万台 / 日産リーフ:約1.5万台 / トヨタbZ4X:約8,000台
課題①:店舗網の規模△ 全国規模ではなく、地方での認知・体験機会が限られる
課題②:モデル数の少なさ△ SUV中心でセダン・軽EV・ミニバンなどが未展開
強み①:コスパ重視の価格戦略◎ EVで300万円を切る価格帯が好評価(補助金活用でさらに割安)
強み②:技術力・バッテリー性能◯ ブレードバッテリー搭載で安全性・耐久性に定評
今後の展望◎ 拠点増+モデル拡充で、2025年以降に1万台超の販売も現実的に

現在、日本国内には20店舗程度の正規販売拠点が存在しますが、トヨタやホンダのように全国津々浦々に展開しているわけではないため、地方在住者にとってはまだまだ馴染みが薄いのです。

さらに、販売チャネルの拡大と同時にモデルラインナップも徐々に増えてはいるものの、選択肢が少ないという点も購買意欲の阻害要因となっています。

現時点では「ATTO3」「ドルフィン」「シール」など限られたモデルしか展開されておらず、より多様なニーズに応える体制が整っていないのが実情です。

このように、日本でのBYD販売台数は確かに右肩上がりではありますが、その成長率は控えめです。今後、販売拠点の拡充やモデルの多様化が進めば、販売台数の更なる加速も期待できるでしょう。

ユーザーが感じる魅力と不安点

BYD車に対する日本国内ユーザーの反応は、魅力と不安の両面が共存しています。まず、魅力として挙げられるのは、何といっても価格に対する装備の充実度です。

例えば「ATTO3」や「DOLPHIN」は、同クラスの国産車と比較しても価格が抑えられているにもかかわらず、ディスプレイの大型化、シートヒーター、先進運転支援システム(ADAS)などを標準装備しており、コストパフォーマンスの高さに驚く声も少なくありません。

また、航続距離やバッテリーの性能についても概ね高評価が寄せられています。

BYDは自社製の「ブレードバッテリー」を採用しており、安全性や耐久性に定評があります。この点は、日本のEVユーザーにとって非常に重要な要素であり、信頼性の指標として受け入れられつつあります。

一方、不安点として最も多く挙がるのは「アフターサービスの信頼性」です。特に、まだ正規ディーラーのネットワークが限定的な段階では、故障時やメンテナンスの際にスムーズな対応が受けられるのかどうか、不安に感じるユーザーが多い傾向にあります。

実際、「修理は中国本社への部品発注で時間がかかるのではないか」「保証対応は国内メーカーよりも不便なのでは」といった懸念の声も見られます。

さらに、「中国メーカー」というイメージがネガティブに働くケースも存在します。たとえスペックや価格が優れていても、「品質に対する先入観」や「政治的リスク」などを理由に敬遠する層が一定数いるのです。

このように、BYD車は価格と装備面で大きな魅力を持ちながらも、アフターサービスやブランドイメージに関する不安が障壁となっているのが現状です。今後のブランド戦略と顧客サポートの強化が鍵を握ることになるでしょう。

BYD車が日本で売れない理由とは?

いくら性能が良くても、実際の販売実績が伴わなければ「売れていない」という印象はぬぐえません。BYD車が日本市場でなかなか売れない理由は、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

まず、日本では「実績あるメーカー=信頼できる」という文化が強く根付いています。トヨタ、ホンダ、日産といった老舗企業が長年培ってきた信頼感に対して、新興の海外メーカー、特に中国系ブランドは「まだ様子見」とされる傾向が強いのです。

BYDが世界的には高い評価を得ていても、日本ではまだその情報が十分に浸透しておらず、消費者の心に届いていないのが現実でしょう。

また、EVインフラの未整備という問題も無視できません。都市部では充電スポットが徐々に増えていますが、地方ではまだまだ不足しており、「EVを買っても充電が不便なのでは」という不安が購入をためらわせる要因になっています。

このとき、国産メーカーであればディーラーでの説明やサポート体制が整っているため安心感がありますが、BYDの場合は販売ネットワークが限定的で、それが大きなハードルになることもあるのです。

そしてもう一つは、販売戦略の差です。日本の消費者はきめ細かい接客や丁寧なアフターサポートを重視する傾向があります。

ところが、BYDはまだ日本向けのマーケティングや販売アプローチが十分にローカライズされておらず、国産メーカーのサービス水準と比較すると物足りないと感じられてしまう場面が多いようです。

つまり、BYD車が日本で売れにくい背景には、「ブランドの信頼性不足」「販売体制の未整備」「EVインフラの課題」など複数の要因が存在します。今後、日本市場において本格的にシェアを拡大するためには、これらの問題にどう対応していくかが重要な鍵になるでしょう。

日本市場における価格とブランドイメージ

BYDの価格設定は、性能や装備を考慮すると非常に魅力的に見えます。実際、「DOLPHIN」や「ATTO3」などのモデルは、同クラスのEVと比較しても数十万円以上安価に設定されている場合が多く、価格重視のユーザーにとっては大きな魅力といえるでしょう。

しかし、この「安い=魅力的」という方程式が、日本市場では必ずしも成立するとは限りません。

なぜなら、日本の自動車ユーザーは価格以上に「安心」「信頼」「ブランド力」を重視する傾向が強いからです。いくら安くても、その車が長期間にわたり安心して乗れるのか、メーカーとしてのサポートが十分か、という点が評価の軸になります。

そのため、BYDがいくらコストパフォーマンスを前面に出しても、ブランドへの信頼が確立されていなければ販売に直結しにくいのです。

また、日本では「中国製品=安かろう悪かろう」という根強い先入観が一部に残っています。BYDが世界的に信頼されるバッテリーメーカーであることや、EV技術においては先進的な立場にあることが、国内ではまだ十分に知られていないことも課題となっています。

その一方で、価格の安さが一部ユーザーには明確なメリットとして認識されており、「試しにEVに乗ってみたい」というライト層にとっては手を出しやすい選択肢となっています。

したがって、価格とブランドのギャップをどう埋めるかが、今後の戦略のポイントになるでしょう。

このように、日本市場においては単純な価格競争では勝ちきれません。ブランドの信頼性向上とサービス体制の強化を通じて、「安かろう」ではなく「価値ある価格」として認知されることが必要です。

BYDドルフィンと競合EV車との違い

多くのEV車が登場する中で、BYDドルフィンはそのユニークな立ち位置を築こうとしています。まず、目を引くのはその価格帯です。ドルフィンは比較的手ごろな価格でありながら、最新のBYD製「ブレードバッテリー」を搭載し、安全性と耐久性の両立を図っています。

一方で、競合となる日産サクラやホンダe、さらには軽自動車サイズのEVと比較すると、サイズや航続距離、走行性能の面で微妙な差異が見られます。

これを踏まえると、BYDドルフィンは「コストパフォーマンス重視のコンパクトEV」という側面が強調されます。しかしながら、日本市場ではブランド信頼性やアフターサービスの体制が重視される傾向があり、その点でトヨタや日産、ホンダの既存メーカーが有利な立場にあります。

実際、充電インフラやディーラー網の広さ、購入後のメンテナンス対応の部分で、ドルフィンはまだ発展途上と言えるでしょう。

BYDドルフィン vs 競合コンパクトEV 比較表(2024年 日本市場)

項目BYD ドルフィン日産 サクラホンダ eスズキ エブリイEV(軽商用)
価格帯(税込)約363万円(補助金後 約290万円前後)約243万〜294万円(補助金後 約200万円前後)約460万円前後(補助金後 約400万円前後)約255万円前後(補助金後 約220万円前後)
駆動方式前輪駆動(FWD)前輪駆動(FWD)後輪駆動(RWD)後輪駆動(RWD)
航続距離(WLTCモード)最大476km(上位モデル)約180km約259km約180km
バッテリー容量44.9 or 58.56kWh約20kWh約35.5kWh約20kWh
特徴的装備ブレードバッテリー / 回転式ディスプレイ / DiPilotプロパイロット / 軽サイズデジタルミラー / シティ向けデザイン商用向け装備に特化
室内スペース広め(全幅1,770mm)コンパクト非常にコンパクト荷室広め
ブランド信頼性(日本)△(新興ブランド、実績はこれから)◎(国産老舗、インフラ万全)◎(信頼・ネットワークともに高い)◯(商用車ブランドとして安定)
販売ネットワーク約20店舗(拡大中)全国ディーラー網完備全国ディーラー網完備全国ディーラー網完備
ターゲット層若年層 / コスパ重視ユーザー軽EV希望のシニアや女性都市型EV愛好家 / デザイン重視派配送業者 / 軽商用ユーザー

それでも、デザイン面や室内空間の広さ、AI技術を活用したインフォテインメントの搭載などは、他のライバル車と比較しても遜色ありません。特に若年層や新しいEVに興味を持つユーザーにとっては、価格・性能・デザインのバランスが魅力に映る可能性があります。

このように、ドルフィンは「安いけれどしっかり走るEV」として、特定の層に訴求するポテンシャルを秘めています。

ATTO3やSEALなど主力モデルの立ち位置

BYDの中核を担うモデルとして、ATTO3とSEALは重要な役割を果たしています。ATTO3はCセグメントSUV、SEALはスポーティなセダン型EVという位置づけで、それぞれ異なるユーザー層をターゲットにしています。

ATTO3は日常使いのしやすさと広い車内空間、比較的リーズナブルな価格設定が強みであり、家族層やSUV好きなユーザーにマッチしています。

一方でSEALは、そのスタイリッシュな外観と高い走行性能を武器に、テスラModel 3やヒョンデのIONIQ6などと競合しています。特にAWD(四輪駆動)モデルでは加速性能やハンドリングの面でも注目されており、単なる廉価EVとは一線を画す存在です。

これらのモデルはいずれもBYDの独自バッテリー技術であるブレードバッテリーを搭載しており、航続距離や安全性においても一定の評価を得ています。

ただ、問題は日本市場でのポジショニングです。ATTO3もSEALも、それぞれ魅力的なスペックを持ちながら、日本ではまだ販売台数が伸び悩んでいます。

その理由としては、ブランド認知度の低さ、販売拠点の少なさ、そして何より「中国車」という偏見的な見方が消費者心理に影響している点が挙げられます。

つまり、いくら製品としての完成度が高くても、ブランドとしての信頼感が醸成されない限り、大きく売れるのは難しいというのが現実です。

BYDの売れ行きと海外市場の差をどう見るか

BYDの売れ行きと海外市場の差をどう見るか
EVLIFE・BYDイメージ

・中国市場ではなぜ圧倒的に売れているのか
・世界販売台数ランキングとBYDの順位
・日本と海外で異なる販売戦略
・BYDが世界で評価される理由
・今後、日本撤退の可能性はある?
・日本で買う人はいるのか、それとも少数派か

中国市場ではなぜ圧倒的に売れているのか

中国におけるBYDの売れ行きは非常に好調で、EV・PHEVを含めた販売台数で世界首位に立つ月もあるほどです。ではなぜ、中国国内ではこれほどまでに支持されているのでしょうか。その背景にはいくつかの要因があります。

第一に、中国政府の政策的支援が挙げられます。EVに対する購入補助金や税制優遇、ナンバープレート優遇制度などが導入されており、消費者が内燃機関車よりもEVを選びやすい環境が整っています。

特に大都市では、ガソリン車の新規登録が難しくなっているため、EVの選択は実質的な必然とも言える状況です。

第二に、BYD自体が中国企業であることによる安心感や愛国消費の影響も無視できません。中国では「国産車支持」の意識が高く、特にBYDはテスラやフォルクスワーゲンといった海外勢を抑えて高い人気を誇っています。

また、販売網やアフターサービスの整備状況も国内では非常に充実しており、消費者が安心して購入できる土壌が整っています。

さらに、BYDのラインアップが非常に幅広く、価格帯や用途に応じた選択肢が多いのも大きな強みです。エントリーモデルから高級セグメントまで網羅しており、それぞれが明確な価値を提供しているため、幅広い層のニーズに応えることができます。

このような背景を踏まえると、BYDが中国市場で「圧倒的に売れている」のは、製品力だけではなく、政策や文化、社会的背景に支えられているからこそだと言えるでしょう。

世界販売台数ランキングとBYDの順位

近年、EV市場の拡大とともに、BYDの世界における存在感も飛躍的に高まっています。実際、2023年にはテスラと並ぶ形で世界のEV販売台数トップを争うまでに成長しました。

多くのメディアが報じている通り、四半期ベースではテスラを上回ることもあり、「BYDが世界No.1のEVメーカー」との評価も現実味を帯びてきています。

この背景には、自社でバッテリーから車体、ソフトウェアまでを一貫生産する垂直統合型の生産体制があります。それにより、コストを抑えつつ高品質な車両を短期間で大量に供給できることが大きな武器となっています。

また、ブレードバッテリーなど独自技術の導入もあり、競合との差別化にも成功しています。

ただし、地域ごとに見ると販売状況には大きなバラツキがあります。中国市場では絶対的な強さを誇る一方で、欧州や日本、米国などではまだシェアが限定的です。

BYDのグローバルEV展開と競合比較(2023年〜2024年)

項目BYD(比亜迪)テスラ(Tesla)
2023年EV販売台数約302万台(BEV+PHEV含む)約181万台(すべてBEV)
BEVのみの販売台数約152万台(テスラと同等水準)約181万台(BEV専業メーカー)
生産体制の特徴垂直統合(バッテリー・モーター・ソフトすべて自社)自社製バッテリー+外部提携(パナソニック・CATL)
独自技術ブレードバッテリー / e-Platform 3.0 / DiPilot4680バッテリーセル / オートパイロット / 自動製造ライン
主力地域中国、東南アジア、中東、中南米北米、欧州、中国(一部)、中東
欧州・米国でのシェア△(進出は開始しているが限定的)◎(高価格帯でブランド確立)
アジア新興国での強み◎(タイ・インド・インドネシアで高シェア)△(価格とブランドのギャップあり)
日本市場での状況▲(拠点と認知拡大中、販売は成長中だが限定的)◯(Model 3を中心に存在感あり)
販売台数の成長率(5年)約9倍(2018年→2023年)約3倍(2018年→2023年)
今後の課題欧米市場でのブランド浸透・安全認証・販売ネット網の構築価格帯の拡張、製造コストの最適化、新興国市場での対応

特に日本ではブランドの浸透が遅く、販売台数のランキングでは他国に大きく遅れをとっているのが現状です。

とはいえ、東南アジアや中南米など新興国市場での展開が順調に進んでおり、国別の販売台数も徐々に広がりを見せています。このまま成長を続ければ、数年以内に全世界でのEV販売トップの座を確固たるものにする可能性もあります。

つまり、BYDは単なる中国国内メーカーではなく、今やグローバルEV市場のリーダー候補といえる存在にまで進化しているのです。

日本と海外で異なる販売戦略

BYDの販売戦略は、日本と海外とでは驚くほど方向性が異なります。

海外、特に中国や東南アジア、中南米などでは、大量生産と安価なEV供給により市場を圧倒しています。例えばタイやブラジルでは、現地工場建設や政府との提携によって、国産車のような扱いを受けている地域すらあります。

インフラ整備と同時にディーラー網も急速に拡大しており、現地のニーズに応えるスピード感があります。

一方、日本市場ではまだ限定的な展開にとどまっているのが実情です。全国での正規販売店数も限られており、都市部中心の展開に偏っています。

加えて、日本の消費者は「ブランド信頼」「アフターサービス」「リセールバリュー」などを重視する傾向が強く、BYDはこうした点に対する戦略を十分に構築できていません。そのため、日本向けの販売戦略は慎重かつ限定的にならざるを得ない状況です。

この違いは、単に売り方の工夫だけではなく、現地文化や購買心理の違いを踏まえた結果でもあります。海外ではEVに対する期待感が「価格と性能」に重きを置く一方、日本では「信頼とブランド」への視線が強く、BYDにとっては最もハードルの高い市場の一つと言えるでしょう。

BYDが世界で評価される理由

世界でのBYDの評価が急上昇している背景には、いくつかの確固たる要素があります。そのひとつが「一貫生産体制」です。BYDはバッテリーからモーター、制御ソフトウェアまで自社で手がけており、他のメーカーよりもコスト競争力と開発スピードに優れています。

特に独自開発の「ブレードバッテリー」は発火リスクの低減と長寿命を実現し、多くのEVユーザーから高い安全性で評価されています。

また、価格設定の妙も見逃せません。同じ価格帯で他社より広い航続距離や豊富な装備を備えることから、「価格以上の価値がある」という評価を受けています。

たとえばATTO3やドルフィンは、テスラや日産といった強豪メーカーと比べても遜色ない装備を持ちながら、より手ごろな価格で提供されています。

さらに、近年では欧州やASEAN諸国への進出も加速し、各地域の規制やニーズに柔軟に対応する姿勢が評価されています。ドイツやノルウェーでは安全試験をパスし、高級モデルであるSEALやHANも販売されています。

ここまで幅広いラインアップを揃え、かつスピード感ある展開ができるメーカーは、世界的にも稀です。つまり、BYDが評価されるのは単に「安いから」ではなく、「安くて高品質で、早い」からなのです。

今後、日本撤退の可能性はある?

現在の販売状況を見ると、「BYDは日本から撤退するのでは」と心配する声も少なくありません。確かに、販売台数は伸び悩んでおり、ディーラー数の増加ペースも緩やかです。

しかし、これをもって撤退と結びつけるのは早計かもしれません。というのも、BYDは「長期戦略としての日本市場開拓」を掲げており、一足飛びの成果を求めていないからです。

現状、日本におけるEV市場自体が大きくはありません。2024年時点でのEV普及率は10%未満とされており、BYDに限らずどのメーカーも思うように販売を伸ばせていないのが実情です。

それに対し、BYDはインフラ整備、パートナーシップ構築、日本仕様へのローカライズなど、じっくりと足元を固める戦略を採用しています。

もちろん、数年以内に大幅な成長が見込めなければ撤退の可能性もゼロではありませんが、現在の動きを見る限り、「撤退」よりも「粘り強く浸透を図る」姿勢が感じられます。つまり、今後もBYDは日本市場に留まりつつ、着実に信頼を築くフェーズを続けていくと見てよいでしょう。

日本で買う人はいるのか、それとも少数派か

現時点でのBYD車の購入者は、明らかに少数派です。しかし、その「少数派」の中には強いこだわりと先見性を持ったユーザーが多いのも事実です。

価格と装備のバランスに敏感な層や、従来の国産車に飽きた人、EVの最新技術に興味を持つITリテラシーの高い層などが中心となって、BYD車を選んでいます。

彼らに共通するのは、「周囲の評価」よりも「自分の価値基準」で車を選んでいる点です。SNSやYouTubeなどで情報収集し、自ら試乗を行って納得の上で購入するというスタイルが多く、価格性能比の高さに魅力を感じています。

特にATTO3やドルフィンに関しては、「同価格帯の国産車よりも装備が充実している」という評価が一定数あります。

一方で、やはり一般層への浸透はまだまだこれからです。国産ブランドに対する信頼が強い日本において、新興外国メーカーが評価されるには時間がかかります。

今後、街中でBYD車を見かける機会が増えたり、口コミやメディア評価が安定すれば、購入層が広がる可能性もあります。現時点では確かに少数派ですが、「買う人がいない」のではなく、「まだ多くの人が知らないだけ」という側面も大きいと言えます。

まとめ:BYDの売れ行き悪い話は本当?

まとめ:BYDの売れ行き悪い話は本当?
EVLIFE・BYDイメージ

・日本でのBYDの販売台数は年間1,700台前後と低迷している
・日本国内のEV市場シェアでは1%未満と存在感が薄い
・中国国内では圧倒的な販売数を誇り、2024年は年間302万台を記録
・世界全体ではテスラを超えるEV販売台数を達成している
・日本市場ではブランド認知度が低く、信頼性が課題
・BYD車の価格は国産車や他の輸入EVと比べて割高に見られやすい
・ATTO3やDOLPHINなど、主力モデルの個性が日本人に浸透していない
・日本の消費者は「中国製=品質不安」という先入観を持つ傾向がある
・日本市場での販売戦略が限定的で、ディーラー網が不足している
・一部では「BYDやめとけ」とのネガティブな口コミがSNSで拡散されている
・BYDは海外での性能評価が高く、欧州では安全性やコストパフォーマンスが好評
・日本では販売促進キャンペーンが弱く、認知拡大に苦戦している
・一部のEVマニア層が購入しているが、一般層への普及は進んでいない
・日本市場での撤退懸念も浮上しているが、公式には否定されている
・今後の成否は充電インフラ整備やブランド戦略次第といえる

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